高野山の別格本山南院には弘法大師・空海が自ら彫ったと言い伝えられている浪切不動明王がご本尊として祀られています。
ご開帳は年1回のみ6月28日にしか拝観することができないので、毎年、その日になると日本中から参拝に来る人が絶えません。
今回は、その浪切不動明王にまつわる言い伝えについて紹介しましょう。
弘法大師・空海自作の浪切不動明王像
不動明王像は全国各地にありますが、ここ高野山の南院にご本尊として祀られている不動明王は、弘法大師が自らの手で彫ったとされる浪切不動明王像です。
なぜ、この不動明王像に浪切という2文字が付けられたかと言うと、弘法大師がまだ空海と名乗っていた頃に話が遡ります。
浪切不動明王像の言い伝え
空海が遣唐使と一緒に今の中国、唐まで仏教の勉強に行ったことは歴史の中で習ったかと思いますが、浪切の2文字が付けられたのは、その唐から日本へと帰る途中に起きた恐ろしい出来事から救われたことに由来しています。
空海が乗っていた唐からの帰国船は、途中でもの凄い嵐に見舞われ、今にも船が沈没しそうになります。
そこで空海は嵐を静めようと、唐にいるときに師事していた恵果和尚から授かった霊木に不動明王を彫り、船首に掲げました。
すると、空海が彫った不動明王から炎が吹き出し、手に持っていた剣が荒れ狂う海を切り開き、空海たちが乗った船は無事に帰国することができました。
嵐の海を切り開いたことから、いつしかこの不動明王には浪切の2文字が付けられ、浪切不動明王となり山王院に置かれていたそうですが、平安時代の南院住職維範大徳の時に移されて南院のご本尊として祀られるようになったようです。
宿坊でもある別格本山 南院
ご本尊の浪切不動明王は年に1回しかご開帳されませんが、別格本山の南院は宿坊にもなっているので、参拝に訪れる人が絶えません。
ご開帳の前日、6月27日となるとかなり前から満室になるので、早めの予約が必要です。
南院の見どころ
南院には、秘仏の浪切不動明王の他にも見どころがたくさんあります。
中でも、本堂の天井に描かれている龍の絵の下で手を打つと、天井と床とが共鳴して鈴のような音が聴こえるそうです。
そのようなことから、この龍の絵は鳴龍とも呼ばれています。
境内は6000坪ととても広く、そこには庭園が3つもあって裏庭には樹齢300年になるとされる巨大な朴(ほう)の木があります。
一般の方でも宿泊することができる宿坊は、個人で70名、団体さんで100名の方が泊まれるようになっています。
予約が必要になりますが写経体験もできるので、高野山に行くときは宿泊してみてはどうでしょう。
南院の基本情報
こちらのお寺は公式サイトがあるのでご覧いただければと思います。
ちなみに正式名称は、高野山真言宗別格本山 浪切不動尊別当 南院となります。
近畿三十六不動尊霊場第三十六番札所にもなっています。
高野山真言宗別格本山 浪切不動尊別当 南院
住所:和歌山県伊都郡高野町高野山680番地
☎0736-56-2534
サイト:http://www.sea.sannet.ne.jp/namikiri-nanin/
アクセス:南海電車 高野山駅から路線バスで約10分。
駐車場:乗用車25台(無料)
宿泊予約:
こちらのサイトに南院の見どころなどが載っているので見ていただくと嬉しいです。
(私の作っている別サイトになります^_^)