福島県のほぼ中央部にある日本で4番目に大きい湖、猪苗代湖(いなわしろこ)は空海にまつわるちょっと恐ろしい伝説があります。
全国でも有数の標高の高いとろこにある猪苗代湖には、いったいどんな空海伝説があるのでしょうか?
猪苗代湖と磐梯山
猪苗代湖伝説
弘法大師こと空海が日本中を行脚(あんぎゃ)していたことは有名ですが、ここ福島にも訪れていました。
空海が猪苗代湖周辺のとある村を通り過ぎる時に、磯を織っていた女の人に水を分けてもらおうとしましたが断られてしまいます。しかたなく別の村まで行くと、今度は米をといでいる翁という貧しい女の人と出会います。
空海はそのとぎ水をもらえないかと伺ったところ、快く飲ませてもらうことができました。
ところがその翌日、何と磐梯山(ばんだいさん)が噴火し周囲にあった52の村が陥没して湖底の中に沈んでしまったのです。しかし、米のとぎ水をくれた女の人の家だけは沈まずに島となって残り、これが今の扇島だと言い伝えられています。
いやいや、空海にまつわる伝説にはこんなことが多く、ある意味少しばかり恐ろしさもあります。
磐梯山の巨人伝説
福島県の空海伝説は猪苗代湖だけではありません。実は、先ほど出てきた磐梯山にも空海にまつわる伝説が残されています。
磐梯山には「手長」「足長」という夫婦の巨人の妖怪がいたのです。
この二人の巨人、嵐をおこしたり洪水を起こしたりと何かと悪さをしていたそうです。
諸国行脚の途中の空海は、困り果てている村人の姿を見て二人の妖怪に会って話をしようと「手長」「足長」の棲み家へと行きます。
そこで空海と二人の巨人妖怪との駆け引きが始まります。
空海は巨大な妖怪に「何でもできるらしいができないこともあるだろう」と挑発すると、それに怒った妖怪は「できないものはない」と猛反発します。
すかさず空海が「ならば小さくなってみせよ」と言うと、そんなことはたやすい事だと妖怪は小さくなります。
しかし空海は、「何だそこまでか大したことがないな、この壺に入れるくらい小さくなれないのか」とまたもや挑発、それに乗ってしまった妖怪は更に小さくなり壺の中に入ったところで蓋をして閉じ込めてしまいます。
その後、壺は山頂に埋められ封印されて「磐梯明神」を祀ったと言い伝えられています。